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1日1組限定の宿泊施設、Craftmen’s Inn KAJI。鍛冶技術が栄える街で、ものづくり文化に触れる

新潟県三条市は、刃物や金属加工のものづくりが盛んな街。
小学校や住宅が並ぶ静かな街の一角に、築80年の古民家を改修した宿泊施設、「Craftmen’s Inn KAJI」(以下、KAJI)はあります。

”KAJI”は、鍛冶屋の「鍛冶」の意味で、周辺には古くからある町工場や、鍛冶体験ができる施設があります。

KAJIのロゴは、三条市在住のデザイナーが考案したもの。
鍛冶の頭文字「K」をあしらい、火花が飛び散る様を表現。ものづくり文化が外に広く知られるように、という想いが込められています。

土間の棚には、鍛冶道具のカンナやのみが収納されており、まるで職人の自宅におじゃましたような感覚に。
地元のものづくり文化に触れながら、暮らすように泊まる体験はいかがでしょうか?

街を知りつくした通訳案内士がいる、めずらしい宿泊施設

KAJIの管理を任されているのは、三条市に住んでいる通訳案内士の川上祥史(かわかみやすし)さん。
川上さんは英語講師の仕事もしており、希望があれば英語での観光ガイドも行います(要別料金)。外国からの宿泊客の方には、とても心強い味方ですね。

「三条市には見学ができる町工場や、試飲ができる酒蔵もあります。また、三条別院というお寺の参道は飲み屋街になっているので、夜ふらっと出かけるのも楽しいですよ」と話す川上さん。

― どうしてKAJIの運営をされるようになったのですか?

川上さん 三条市は金物製品が有名で、海外にも多くの企業が進出し、品質も世界中で高い評価を受けています。私も以前から、内と外をつなぐ役割として何かできることはないかと思っていました。
ちょうどその時、三条市が古民家を改修してKAJIを始めることになり、通訳案内士をやっている私が、その役割を担うことになったんです。

ー ゲストハウスと比べて、KAJIの魅力はどこにあると思いますか?

川上さん 普通のゲストハウスはドミトリーなどの狭い空間で、ゆっくり休めないこともあると思いますが、KAJIなら気の置けない仲間と過ごすにも最適です。
今ではAirbnbや口コミで、県外の方や海外の方がたくさん泊まりに来られるようになりました。三条市のものづくり文化に触れながら、暮らすように泊まっていただけたらとても嬉しいです。

宿泊は1棟1組限定。旅の疲れを癒す、プライベートな空間

写真提供:Craftmen’s Inn KAJI

玄関に足を踏み入れると、広い居間がお出迎え。天井が高く、アクリルの引き戸で開放感があります。

KAJIの宿泊は1棟1組限定。知らないゲストと顔を合わせることもなく、友だちや家族とプライベートな空間で過ごすことができます。また、館内はフリーwifi完備なので、仕事や学習の場としても向いています。

板の間には昔使われていた、レトロな風合いの看板。

キッチンにはIHクッキングヒーターがついているので、木造の古民家でも火の元は安心。
2と7の付く日に開催される近くの朝市に出かければ、地元の新鮮な食材を手に入れることができます。せっかくですから、キッチンで自炊を楽しむのもいいですね。

電化製品は、炊飯器やトースター、電気ポットの他に、冷蔵庫と電子レンジも完備。食器も充分な量が用意されています。

調理器具はすべて、地元の三条産。これだけ揃っていれば、自炊には困りませんね。

こちらはお風呂場。小さめですが、浴槽は新しく、追い焚き機能もついています。大人数で泊まる際は、歩いてすぐの旅館で500円の日帰り入浴もお勧めです。

2階へ続く階段は、勾配が急なのでちょっとしたスリルを味わえるかも(笑)。

写真提供:Craftmen’s Inn KAJI

2階に上がり渡り廊下を歩いていると、床や手すり、天井など至るところから木の温もりを感じます。

写真提供:Craftmen’s Inn KAJI

お部屋は1階の板の間と、畳の和室が4部屋あり、最大10名まで泊まることができます。就寝時は、もちろんお布団を貸し出してくれますよ。

KAJIには洗濯機がないため、徒歩15分のコインランドリーを紹介しています。街歩きのついでと考えればそう遠くはありませんが、希望があれば自転車を借してくれるそうです。

熟練の鍛冶職人に教わる包丁研ぎ体験

KAJIに泊まったらぜひ行ってほしいのが、徒歩3分の場所にある「三条鍛冶道場」。こちらでは熟練の鍛冶職人から教わる、鍛冶体験ができます。

今回は、自宅から持ち込んだ包丁で、包丁研ぎ体験をすることに。

教えてくれたのは、職人歴60年の元鍛冶職人、外山さん。なんと78歳!
包丁を手にするなり「これは片側だけ強く研がれているな」と言われてしまいました……。包丁に付属しているシャープナーで研いでいたのですが、使い方を間違うと刃先を丸めたり、逆効果になってしまうそうです。

包丁は専用の研ぎ石を使って、45度の角度で上下に動かしながら磨いていきます。

最初は鋭い刃を手で抑えることも怖かったのですが、親切に指導してくれるので、次第に慣れていきます。時間は30分から1時間。

おかげで新品同様、切れ味抜群の包丁に生まれ変わりました。
包丁研ぎ体験は持ち込みで、ひとり1本90円。借りる場合でも300円とかなりお得に体験できます。他にも、和釘やペーパーナイフづくりの体験も行っており、予約をすれば団体客にも対応可能です。

地元の職人と触れあいに、三条市へ訪れてはいかがでしょうか。

取材を終えて

今回訪れた三条市は、日本の高い技術が集積された素晴らしい場所です。街を歩いていると、KAJIのような昔ながらの古い建物や、公共施設と飲食店が融合した新しい建物もあり、懐かしさと新しさを感じられます。

そして毎年10月には、三条地域の各工場の見学が可能になるイベント「工場の祭典」も開催されています。

ぜひ足を運んで、三条市の魅力に触れてみてください。

暮らしミタ人

川上祥史さん

川上祥史さん

1981年、新潟県長岡市生まれ。 新潟県を中心に、TOEIC講師・翻訳業・通訳業を営む。 TOEIC TEST 990点満点, 実用英語検定試験(英検)1級, 通訳案内士(英語)。

Writer

五十川 ルリ子
この記事を書いた人
五十川 ルリ子

新潟県在住。食べることやカフェめぐりが大好き。自ら足を運んで惚れ込んだお店や、魅力ある人へ取材をしています。

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