Vol. 1 3

「場づくり」と「ものづくり」が地域コミュニティにできること イベントレポート

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昨今、全国各地に増えているコミュニティの場。
代表的な例としては、事務所として場を提供するコワーキングスペースや、宿泊者同士の交流ができるゲストハウスなどが挙げられます。いずれもイベントや制作発表の場としても活用されることがあり、地域活性の役割を担っています。

そんな地域コミュニティについて話すイベント「場づくりとものづくりが地域コミュニティにできること」が、2017年9月24日に開催されました。
場所は長野市門前のコミュニティスペース、tsunagno(ツナグノ)です。

左、堀下さん/中央、波多腰さん/右、山脇さん

ゲストには茨城県でコワーキングスペース「Tsukuba Place Lab」を運営する堀下さんと、兄弟でデニムブランド「EVERY DENIM」を立ち上げた山脇さん。

イベント進行役は会場を運営する株式会社CREEKSの波多腰さんが務めます。これから地域で場づくりをしていきたい人や、ものづくりの発表の場を探している人はぜひ参考にしてください。

全国各地で街づくりのプレーヤーが不足している

波多腰さん 本日は「場づくりとものづくり」というテーマで、ゲストの二人とお話をさせていただきます。まずはそれぞれ、自己紹介をお願いします。

堀下さん 堀下恭平と申します。普段は茨城県つくば市でコンサルの会社を経営しています。筑波大学の近くでコワーキングスペース「Tsukuba Place Lab」の運営もしています。温泉が好きで温泉ソムリエの資格と、なんとなくノリで狩猟免許を持っています。よろしくお願いします。

山脇さん ノリで狩猟免許、すごいですね(笑)。私は兄弟で「EVERY DENIM」というデニムブランドを運営しております、兄の山脇耀平(ようへい)と申します。
全国のゲストハウスやコミュニティスペース、カフェなどのスペースを借りて販売活動をしています。大学が堀下さんと同じ筑波大学で、後輩にあたります。どうぞよろしくお願いします。

波多腰さん さっそくですが堀下さんは、どうしてつくば市でコワーキングスペースを始められたんですか?

堀下さん 始まりは商店街活性化なんですよね。6年前、「人と人とをつなぐ、つくばのアイディア発信基地」というコンセプトのもと、筑波大生とつくばの地域の人を繋ぐ場所を作ろうと学生カフェを始めたんです。

その後全国各地で街づくりのコンサルをしてきたんですが、人口の大小に関わらず、どこに行っても問題はひとつに集約されるんですよ。街づくりの“プレーヤーがいない”と。

一過性の方策としては、結局取り合いなんです。「Uターンさせよう。東京に出ていったあいつを帰ってこさせよう。リタイヤした重役たちを戻せ、金と仕事を一緒にあいつらを戻せ」とか。それを聞いていたら、つまんねーなと感じちゃって。

コンサルの仕事が嫌になったわけじゃないんですけど、自分自身が場づくりに参画することで地域のプレーヤーを育てたいと思ったのが、Tsukuba Place Labを始めたきっかけですね。

場の運営者に気に入ってもらえなければ、イベントは失敗する

波多腰さん 山脇さんはものづくりの方ですが、堀下さんのような場づくりの方とどういった関わりをしていますか?

山脇さん どんなイベントをする場所でもそうなんですけど、場所を運営している方に僕たちのデニムを気に入ってもらえることを大事にしています。イベント前の打ち合わせ段階でデニムに全く興味を持ってもらえなかったら、たぶんそこでイベントをやっても絶対失敗するんですよね。

山脇さん つくばでもイベントをさせていただいたんですが、堀下さんが僕たちのデニムを履いてくれて、何よりも広報をしてくれるのがありがたいんですよ。僕が偉そうにデニムの良さを話すよりも、もっと説得力があるんです。

堀下さん ようへい(山脇さん)は月に一回ぐらいうちに来てくれるので、こういう思いで活動している人の商品だから話を聞いてみなよ、ってみんなに知らせることが多いです。そういう意味では、ようへいをものづくりの人とはあまり思っていなくて、場づくりの人だなって思ってるんですよね。

波多腰さん EVERY DENIMがあると場が盛り上がるというか、コミュニティの柱になっているんですね。

コミュニケーションが生まれるきっかけを衣服でつくりたい

波多腰さん 山脇さんは、地域との関わりについて何か考えていたりしますか?

山脇さん 僕たちは“衣服であることの意味”にこだわりたいと思っていて。

波多腰さん 衣服であることの意味?

山脇さん 例えばゲストハウスとか宿泊施設の館内着を作ったら、もしかしたら宿泊施設の外の居酒屋でも「泊まってるんすか?」って会話になるかもしれないじゃないですか。「泊まってるんすか?」ってなるってすごいなと思っていて。

僕だったら絶対に話しかけるし、その場所でコミュニケーションが生まれるきっかけを服で作っていきたいなって思うんです。そうやってチャレンジすることが、まさに自分がローカルに貢献できる意味があるかなと思っていて。単にかっこいいとか流行ってるとかっていうのを越えて、もっとものに意味を付与していきたいなと思うんです。

波多腰さん 自分を表現するツールとして着てもらいたいという感じですよね。

山脇さん 若い人はとくに、なんでもいいみたいな感じじゃないですか。年々、服に対する期待値下がってますからね。コスパ重視で安いのものが溢れてますし。

波多腰さん 自分らしく表現できているかっていったらそういう人ばっかりじゃないですよね。場所によって共通のものを着る、というアイディアはすごくいいですね。

山脇さん デニムきっかけで、全然知らない人同士が知り合いになったら面白いなって。「僕も履いてるんです」って(笑)。

堀下さん それは僕らにはできないことですね。できないけど、ようへい(山脇さん)を通じて疑似体験することができる。ようへいを紹介していけば、一緒に何かできるかもしれないし、箱としての場じゃなくて、EVERY DENIMを通した場づくりになっているなって思いますね。

山脇さん 今まではスーツケースひとつで周っていたんですが、これからは車で全国を周りたいと思っていて。軽油で走る車を買って、毎回のイベントごとにお客さんに家庭の油を持ってきてもらって、それを回収してまた僕らがエネルギーにしていく、みたいなことを考えています。

お店を作ってお客さんを待つんじゃなくて、自分たちから足を運ぶことによって、会えなかった人にも会えるわけなんですよね。普段はめちゃめちゃカジュアルな服や安い服しか着ません!みたいな方にも会えて。物単体で見ると高いかもしれないけど、こういうやり方で繋がれる価値もあると思っているんです。

堀下さん ものづくりだけじゃなくて、場づくりも最先端でやっているって感じがあるよね。

山脇さん 自分たちが前線に立ってやっていきたいですね。僕たちが行くことによって、その場所にメリットを還元していきたいなって。それは自分たちの知名度とともに上昇していくものだと思うので、僕らはただその場所に駆けつけるのみです。

スタバじゃない価値を僕らは提供しないといけない

ここからは会場の参加者の質問に答えていきます。

質問者A つくばのコワーキングスペースであんなに多くのイベントができるのは、それだけ外からイベントを持ってきてるんですか?

堀下さん そうですね。過去260個のイベントのうち160個くらいは外部で、100個くらいが内発です。※Tsukuba Place Labは2016年12月にオープン。

何か考えている人に「一緒にやりましょうよ」って巻き込んじゃいますね。うちに来てくれる方って潜在的に何かやりたい、と思っている方なので。「それだったらうちでやりましょう。お金がないなら、対外的な運営主体と集客はうちで見るからやってみましょうよ」という声掛けはかなり意識的にやってますね。

波多腰さん やろうよって延々に言い続けるっていうのは、場づくりをする人の仕事かなって思いますね。

堀下さん 私は人が何かをやるときと決めたとき、その人の状態は4つに分類できると思っているんです。ビジョンが明確であるかないか、そのアプローチがわかってるかわかってないかによっての4分類。

「何かやってみたいんですよね」という人には好きを探してもらう必要があって、あの人に会ってみたら?と言ったりとか。「今やってることはある、だけどどこを目指してるかわかんない」みたいな人には、逆に外に出てみなよとか、その道の最先端の人に会ってみたら?と言ったり。

堀下さん コワーキングスペースに興味があるなら、オーガナイザー紹介するから行ってきなよって言ったり。ビジョンはあるけど何をやったらいいかわかんないという人にはメンターを見つけてもらう。それが僕なら僕がやるし、ビジョンが明確でアプローチがわかっている人にはそれをバックアップする。

その結果が、イベントの開催数が多いことに繋がっているような気がします。それに仕事をするだけならスタバでよくない?って。スタバじゃない価値を僕らは提供しないといけない。

波多腰さん コミュニティの場に来る人たちは、対話を潜在的に求めていますよね。入りづらいけど、期待して来てくださったり。

堀下さん 出会い、対話が大事ですね。

イベントが倒れそうであればやらせないこともある

質問者B イベントをやること自体が目的の人もいるかと思うんですが、どこまで関与して運営されていますか?

堀下さん 私は人をめっちゃ見ちゃいますね。イベントやりたいんですって言われても、何のために何をやるのかまで見えてなければ、うちに適してなければ、他に繋いじゃいます。

うちで囲っておくことは経理上は最高なんですけど、19坪で狭いですし、やれることはたかが知れてて。イベントが倒れそうであればやらせないってこともありますし、その辺は見てますね。

波多腰さん うちも変わらないですね。会社の事業と重なることがあれば、一緒にやっていきましょうって提案していくこともありますけど、方向性とかスタンスが違うなって思ったら、イベント会場として利用してもらうだけってこともあります。

質問者B 場合によっては、場を提供する以上の支援もやるということですよね?

堀下さん 全然やりますね。ようへいは場所の人と話が合わなかったらイベントをやらないって話していたよね?

山脇さん そうですね。最近は2年やってきたっていうのがあって、事前に難しそうだなとかなんとなく判断できるようになってきましたね。
これは個人的な意見なんですけど、狭くやるほうが相性がいいなっていうのは感じています。マルシェの出店とかは難しい。単独のイベントとは、お客さんのテンションも違いますしね。

堀下さん 三者三様だけど、やりたい人とやるっていうのが大事だと思いますね。

ー 最後にそれぞれ3人にとって、「地域コミュニティにできること」とは何かお伺いしました。

堀下さん 誰かの「やりたい!」を応援し続けること。その先に誰も予想できない、地域コミュニティの新しい広がりがきっとあるはずだと信じています。

山脇さん 「服」を通じて繋がりをつくることですかね。同じアイテムを身につけることによって「自分たちは価値観を共有してるんだ!」という一体感を作り出せるのなら、それほど嬉しいことはないです。

波多腰さん 自分らしさを追求できる環境づくりでしょうか。学校や職場といった、いま属しているコミュニティが潜在的に求めている学びや機会を与えてくれるとは限らなくて。特に地域には「場」そのものが少ない。多様な人との出会いや機会が生まれやすい空間を持続していくことで、地域で生き生きと過ごす人が増えていくと思っています。

暮らしミタ人

堀下恭平さん

堀下恭平さん

1990年熊本県熊本市生まれ。
株式会社しびっくぱわー代表取締役社長、NPO法人グリーンバードつくばリーダー、Tsukuba Place Lab代表。
筑波大学在学時にコミュニティの拠点として学生カフェ創設に関わったことからまちづくり分野に興味を持ち、全国各地の商店街活性化に関わった後、行政コンサルティングの仕事を始め、のちに起業。「迷ったら全部やる」がモットーで「成功するまで続ければ失敗しない」が信念。 http://tsukubaplacelab.com/

山脇 耀平さん

山脇 耀平さん

1992年兵庫県加古川市生まれ。
EVERY DENIM共同代表・兄。 筑波大学在学中、実の弟とともに「EVERY DENIM」を立ち上げ。オリジナルデニムの販売やスタディツアーを中心に、生産者と消費者がともに幸せになる、持続可能なものづくりのあり方を模索している。繊維産地の課題解決に特化した人材育成学校「産地の学校」責任者。 http://everydenim.com/

Writer

五十川 ルリ子
この記事を書いた人
五十川 ルリ子

新潟県在住。食べることやカフェめぐりが大好き。自ら足を運んで惚れ込んだお店や、魅力ある人へ取材をしています。

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